おはようございます。
新田です。
今日は、コラムです。
《くらげ》
山形県の地方都市鶴岡市にある鶴岡市立加茂水族館。どこといって特徴もなく、入場したお客さんは15分で退出してしまうほど。開館当時は年間20万人だった入館者も他の地域に競合する水族館ができたことから年々減少の一途。いつのまにか入館者数はピークの半分以下。集客を高めようとラッコを導入したりイベントを催したりしたものの一向に客足は増えず、経営は悪化の一途をたどり、会社は倒産の危機にまで落ちていってました。
そんなとき、お客がある水槽に生まれたクラゲを見て、「ワー、キャー」喜んでる。それを見た館長が試しにクラゲの水槽を一つ作ると周囲に人だかりができはじめた。経営存続を諦めかけていた館長は、「これにかけよう!」とラッコも熱帯魚もイルカもやめ、水族館をクラゲ一本に絞り、「クラゲ水族館」とした。大切なものは足元にあるもので、調べてみると、近くの海には100種類ものクラゲがいる。海水の質もクラゲの生育に優れていた。
少しづつクラゲの種類を増やし始め、2012年にはギネスでクラゲ展示種数世界一に認定された。今ではこの小さなクラゲ水族館を目指して人が全国から集まり、クラゲはインスタ映え。マスコミもこぞって取材にきた。館内の土産もクラゲ尽くし。クラゲ饅頭、クラゲ羊羹。レストランではクラゲラーメンやクラゲアイスが飛ぶように売れるという(笑)
地方の小さな小さな水族館は、大きな水族館の真似をすることよりも絞り込まれたカテゴリーで1位を目指し、世間の注目を集め復活を果たしたのでした。
《競争相手が出発点》
ランチェスター戦略において経営の目的は、「1位になること」です。あるカテゴリーで1位になり、市場占有率を高め、2位以下のライバル会社に圧倒的な差をつけることを目的とします。そうすることでパレートの法則が働き、利益の集中を起こすのです。1位となるポイントは、お客や市場より先にライバル他社を見ます。競争相手に勝てる市場はどこにあるかを考えます。上述の鶴岡市立加茂水族館は、カテゴリーを絞り、そこに限られた経営資源を投入することによって1位になれる市場を作り上げたました。
お客が多い市場はどこか、いま流行しているものは何か、ボリュームのある市場はどこかではなく、ライバル他社に勝てる市場はどこにあるかから考えます。
《1位有利の法則》
人は、お店や会社を他人に紹介するときに、自分の中のマインドシェア1位のお店や会社を紹介すると思います。日本一高い山は答えられますが、2位の山はなかなか思い浮かびません。1位になると、認知度が高まり、認知のために大きな費用を投入しなくても紹介が生まれやすくなり、利益が計上されやすくなります。
また、ある地域で1位になれば狭いエリアにお客や取引先が生まれることになりますので、営業経費や移動経費も安くなります。不景気等によってライバル他社の倒産や廃業が起これば、ライバル他社のお客が2位や3位の企業に流れることは考えにくく、基本的には1位の会社に流れてくるはずです。このようにs1位経営を行うことは様々メリットを産むことができるのです。
参考文献/「引き算をする勇気」岩崎邦彦日本経済新聞出版社