『カップヌードルをぶっつぶせ!』
安藤 宏基
中央公論新社
大企業の新商品開発に向けた裏側が分かります。
偉大な創業者に対峙する2代目経営者の在り方
について語っています。
面白いですね。
多分、心構えと度胸があるのだと思いました。
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「カップヌードルをぶっつぶせ」
1985〔昭和60〕年6月、私が日清食品の社長になったときの第一声である。
私は37歳。若くてやる気満々だった。9p
創業者は「仕事を戯れ化せよ」という言葉をよく使っていた。
この言葉が新聞記事に紹介されたとき、当時松下電器産業の社長であった山下俊彦氏から
「大変ユニークな表現で驚いた。企業の経営者でこんな言葉を使った人は誰もいない。
どういう意味なのかぜひ教えてほしい」という内容の手紙が来た。
「戯れ化とは、われを忘れて夢中に働くための最上の方法である。興味を持って取り組んだ仕
事には疲労がない」と答えている。
59p
「世襲については賛否両論あるが、私はこだわらない。
器にあらざるものをその器にすえると、本人も周囲も不幸になる。
もしほかに優秀な人材がいるなら、いつでも登用する」私に向かっての最初の一言は、
「社長とは権限ではない。責任だ」というものだった。
私の甘い性格を知っているだけに、しっかり釘を刺している。81p
私はいつも、どんな狭い世界でもいい、どんな小さなジャンルでもいいから、
NO1のポジションを取れと言い続けている。
NO2のブランドを十種類持っているより、NO1ブランドを一つ持っているほうがよほど
資産価値があるからだ。
そのために必要なのは、やはり他者を大きく引き離すための技術革新だった。98p
テーマをつかんだらそれだけを四六時中考え続ける。
思考は情報の磁場であって、考え続けていると、自然に必要な情報が集まってくる。
106p
何度も言うが、新しい制度や組織はできたとたんに陳腐化してゆく。
政府の行政改革も同じだが、世の中の環境変化に応じて絶えず仕組みを改めていかな
ければ、いつか疲弊してしまう。167p