『一瞬に生きる』
小久保 裕紀
小学館
福岡で生活していたころ、
今よりももっと身近だったホークス。
あの頃は、
佐々木に、カズ山本に、松永に、松中、柴原、小久保、
斎藤、湯上谷、井口、…、
読んでいると、それらが思い出されて、
とても懐かしい感じでした!!
ついには、日本代表の監督にまでなりましたね!!
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その優勝の瞬間、マウンドに駆け寄ったシーンはじつは記憶にありません。キャンプ
中からシーズン中も、私の練習相手を続けてくれた、用具スタッフの金岡信男さんと
泣きながら抱き合っているところから記憶が戻ります。興奮しすぎて頭が真っ白な状
態だったのに加え、あふれる涙で視界が消えていたのでしょう。165p
私は「とにかくどんな形でもよいからホークスを出してほしい」と、球団側にお願い
しました。日本シリーズの後に中内正オーナーから呼び出しがありました。
「来年からジャイアンツに行ってくれ」
「わかりました。お世話になりました」
本当にたったこれだけの会話でその場を離れました。199p
「お忙しい中、貴重な時間を取っていただきありがとうございます。今シーズン限り
でユニフォームを脱ごうと決めました。そのご報告をさせてもらいます」
そう言い終わる前に突然涙が溢れました。しばらく言葉にならず、その間もじっと静
かに待っていてくれました。232p
簡単に「努力した」と口にするな、いったいそれが本当の努力なのかということで
す。努力とは現在進行形で使う言葉ではなく、やり遂げた後に「あの時の努力があっ
たから」という過去形で使うものだと思っています。234p
王監督自身が紛れもなく、誇り高き戦士だったのです。
誰よりも自分に厳しく、誇り高く生きてこられたのを、一番近くで勉強させてもらえ
たことに感謝しています。250p