1位はありますか?

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nitta

先日受講したセミナーで講師が次のようなことを話していました。「ランチェスター経営の目的は、1位づくりです。長年安定している会社、上場している会社、成長している会社は、すべて何かで1位になっています。」1位づくりの大切さは理解していましたが、「すべて何かで1位になっている」と言われると、なかなかインパクトがありますね。1位以外はお客様掘起し係になってしまいますから、同質化していれば頑張れば頑張るほど1位の企業に利益が集中していきます。ランチェスター物理の法則です。今月は、いくつか実例を紹介したいと思います。

● ソフトバンク
携帯電話キャリア事業に参入したとき、ソフトバンクは安売りというカテゴリーで他の携帯電話会社から差別化し、局地戦で1位をとる戦略に徹しました。「低価格」で市場に一点集中した後は、次第に拡大し、NTTドコモを抜いて国内携帯電話市場の首位に躍り出ます。孫正義社長は、「私はランチェスター戦略と孫子の兵法で経営を行っている」と豪語しているほどです。

● コメリ
新潟県が本部のホームセンターコメリです。都市周辺の一般消費者は相手にせず、郊外の農家を客層に設定しています。ゆえに店舗は郊外にしかありません。商圏設定に気を配っており、店舗の大きさや人員配置も研究し、効率経営を行っています。郊外では一番店のホームセンターです。

● 水族館
山形県鶴岡市の鶴岡市立加茂水族館。イルカやラッコを勧誘して客寄せを図りましたが、来場者は減少の一途。競合店と差別化するためにクラゲ一本に絞った水族館にチャレンジしました。魚の数やラッコの数では負けても、クラゲの種類では世界一の水族館となりました。赤字経営が黒字経営に転化した最たる実例です。

● セブンイレブン
全国一斉に展開した他のコンビニエンスストアと比較し、セブンイレブンは地域を絞って1位戦略に徹しました。地域1番店となって初めて地域を近隣から拡大していきます。四国や九州、沖縄などは他の地域で1位になるまでは出店しませんでした。ドミナント経営です。物流機能にも優れ効率化も図られたため、他の競合企業と比較しても一人当たりの粗利益は抜きんでています。

● しまむら
ユニクロ等との競合を避けて、あえて郊外店に出店しています。中心部では1位ではありませんが、郊外のアパレルショップでは断トツ1位です。一人当たりの粗利益もユニクロの比ではない数字を生み出しています。

● HIS
旅行会社後進企業だったHISは、顧客層を絞り、取扱う航空会社を絞り、旅行先を絞ります。はじめから全体で1位を目指すのではなく、「各個撃破主義」。小さいカテゴリ―で1位を取り、横展開していきます。大手が注力している旅行地は後まわし。当時は有名ではなかったビーチリゾートに、他社よりも相当安く行けるツアーを客層を若者に絞り販売していくことで、シェアを拡大していきました。

● ハウステンボス
HIS、ハウステンボスの澤田社長もランチェスター経営を地で行きます。1位でなければ人が集まらないと知っているハウステンボスの次の企画は逸品です。「ハウステンボス九州一花火大会」「アジア最大級!2,000品種120万本のバラ祭」「世界最大級のホラータウン!」「世界一の光の王国」「魔女数世界一へイベント」など。

 

2019年11月1日/ 新田 哲也

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