個人事業と会社(法人)では、事業を行うという目的自体は同じですが、各論点で違いが存在します。最初に相違点を把握したうえで、事業の形態を選択してください。影響の大きい主な相違点を順にみていきます。
先ずは、税率構造の違いです。個人事業は、基本的に事業所得となり、他の所得と合算して課税されます。所得税と住民税を合わせて最大50%の累進課税方式です。これに対し、法人税の税率は基本的に一律です。法人住民税と合わせ約40%となります。このため、利益(所得)が同額でも事業の形態により納税額に有利不利が生じてくることがあります。
次に、経営者給与です。個人事業の場合、経営者に給与の概念がありません。収入から経費を引いたものが納税前の手取額となります。会社の場合は、会社という自分とは異なる法人格から役員報酬として受取ることとなります。この際気をつけたいのは、年の中途で自由に役員報酬額の変更ができないということです。取締役会等で定めた報酬額を1年間は変更することなく継続していかなければなりません。特に設立年度等は、慎重に報酬額を決定します。
また、株式会社を設立するとなると、登録免許税が最低でも15万円必要です。その他印紙税や定款作成費用もかかってきます。対して、個人事業は手軽に始めることが可能です。必要となる初期費用の大小も選択のポイントです。
最後に、社会保険の加入義務です。個人事業の場合は、常時雇用する従業員が5人未満であれば加入は任意(業種により5人以上でも任意)となります。会社の場合は、従業員の人数に関わらず加入義務がありますので注意してください。そのため、社会保険料の約半分は会社が負担することとなります。
事業を行うという同じことでも、組織をどうするかによって他にも様々な違いが生じてきますので、事前にしっかりと把握・検討するようにしてください。