キャリアアップ助成金 要件の変更・統合・新設

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Writer
tanaka

令和3年4月1日より、キャリアアップ助成金の要件の変更・統合・新設が行われました。
キャリアアップ助成金とは、有期契約労働者や派遣労働者、アルバイトといった非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための制度です。

非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善といった取り組みを実施した事業主に助成金が支払われます。

労働者の意欲向上に伴う事業の生産性向上、雇用の安定化が期待できます。

現在、種類は以下の7つがあります。
(1)正社員化コース
(2)障害者正社員化コース
(3)賃金規定等改定コース
(4)賃金規定等共通化コース
(5)諸手当制度等共通化コース
(6)選択的適用拡大導入時処遇改善コース
(7)短時間労働者労働時間延長コース

今回は、キャリアアップ助成金の中でも代表的な正社員化コースを見ていきます。

目次

正社員化コース

令和元年の厚生労働省の統計調査によると、非正規雇用の労働者のうち、

約2割は正社員を希望していますが、正社員の職に就けないという現状があります。

また、派遣社員に至っては、約4割が正社員を希望しながらやむを得ず派遣社員として従事しています。
これらのギャップを解消し、正規労働者の比率を上げるための施策として、キャリアアップ助成金正社員化コースがあります。
就業規則等に規定した制度に基づいて、有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換・直接雇用した場合に助成される制度です。

中小企業の場合の助成額は以下の通りです。
(1)有期雇用→正規雇用:1人あたり57万円
(2)有期雇用→無期雇用:1人あたり28万5千円
(3)無期雇用→正規雇用:1人あたり28万5千円
※生産性の向上が認められれば増額があります。
(1)~(3)合わせて1年度1事業所あたり上限20人です。

 

変更点

【支給要件】
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して、基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額が3%以上増額していること。

以前は基本給、定額で支給されている諸手当及び賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給及び定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)が、5%以上増額していることが要件でしたが、令和3年4月より緩和されました。

【加算措置】

  1. 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接  雇用した場合:28万5千円
  2. 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合:有期雇用→正規雇用 9万5千円
    有期雇用→無期雇用 4万7千5百円
    無期雇用→正規雇用 4万7千5百円
  3. 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合(1事 業所当たり1回のみ):9万5千円

令和3年4月から 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合の加算措置が廃止されました。

 

まとめ

企業では人手不足が深刻化していますが、限られた資金の中で雇用に慎重になる経営者が多くいらっしゃいます。

まず有期雇用期間(6か月以上)で採用し、その方が自社に合っているかを見極め、キャリアアップ助成金を活用できれば経営者、労働者双方にメリットがあるのではないでしょうか。

キャリアアップ助成金は採用から最低でも1年は申請できず、すぐに受給できるものではないですが、雇用拡大を考えている経営者には使いやすい助成金の一つだといえます。

申請には煩雑な書類が必要ですが、有用な制度ですので活用されてみてはいかがでしょうか。

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